院長やベテラン衛生士から多く受ける相談のひとつに、「若いスタッフが、自分で考えずに、答えを求めてくるんです。仕事を任せても結局いちいち指示しなきゃいけないので、かえってこちらの手間が増えるばかりで。ちょっとは頭を使ってほしいのですが……」というのがあります。
たとえば上司が若いスタッフに次の指示をしたとします。
「今月はスタッフ不足で、患者さんの待ち時間が通常より長くなる可能性があるので、患者さんの不満を軽減する対策を考えてほしい」
このとき、冒頭の“考えないスタッフ”から数日後に返ってくる決まり文句は、
「どうしたらいいでしょうか?」です。
これでは「相談ごとの丸投げ」です。これを放置していては、依頼した上司はかえって手間がかかるだけだし、スタッフ本人も成長がありません。
しかも、この決まり文句を使っているスタッフ本人は、無自覚にそれを使い続けているので、「考えていない」ことにすら気づいていません。
ここで上司がつい反射的に、答えを言ってしまいがち。あるいは、「だったら私がやるから」と仕事を取り上げてしまうこともあるかもしれません。これだと、その人はいつまでたっても“考えないスタッフ”のままです。
そんなときに、上司のリアクションとして試していただきたいのが、「あなたはどうしたらいいと考えますか?」と再度問い返すことです。そこで、一度は自分の頭で考える機会を与えます。
それでどうしても考えが浮かばないときには、考える視点を分解して与えてあげるとスムーズになります。
たとえば上記の「待ち時間の不満軽減策」なら、
「実質的に待ち時間を減らす工夫として、何ができるだろう?」
「(待ち時間は短くならなくても)気分的に待ち時間があっという間に感じさせる工夫は?」
というように考える筋道をヒントとして与えてあげます。
すると、考える範囲が限定されることで、アイデアが出しやすくなります。考えないスタッフを量産しないためには、「いかに彼女(彼)自身に考えさせるか?」が大切ですね。
ビジョンとお金の両立を実現させる専門家
ビジョナリーパートナー
和仁 達也
歯科医院のビジョン実現化をサポートするビジョナリーパートナー。
(株)ワニマネジメントコンサルティング代表
主な著書
「お金に好かれる人嫌われる人」
「世界一受けたいお金の授業」
「逆ザヤ社員が稼げる社員に変わる法」ほか多数
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